損害保険に入っていて、本当に良かったと思える出来事があった。子どもが生まれた時に、やんちゃだった自分の子どもの頃を思い出し、子どもが何かしでかすことを想定して入っておいた保険だ。それを、妻や子どもが関係ないところで使うことになるとは。入っていなかったことを想像すると、本当に恐ろしい。

子どもが2年間の長期留学中で、子どもに会いに妻も1か月程、バカンスを兼ねてオーストラリアに遊びに行っている間に事件は起こった。私は仕事が忙しく、世話をしなければならない愛犬も昨年亡くなったので、何日もきちんとは自宅に戻っていなかった。会社事務所には入浴設備はなく、シャワーを浴びて着替えを取りに帰る目的で、数時間だけ帰宅するということが続いてたある日、いつものように事務所で仕事に没頭していると、自宅マンションの管理会社から電話が入った。なんと、下の階の住人に「天井から水が漏れてくる」と指摘されたのだ。

慌てて自宅に戻ってみると、玄関にもお風呂場にも異常はなく、原因はキッチンにあった。昨日出かける前に食器洗い機をセットして出たのだが、食器洗い機と水道をつなぐ分岐水栓が壊れ、そこからキッチンシンクの下の戸棚に水漏れし、更に階下の住人の部屋にまで、トラブルを伝えてしまったのだ。

水回りのトラブルはいろいろあるが、今回はキッチンで起こったのがせめてもの救いだ。お風呂場だったらうちのマンションはすぐ横に洋室がある造りなので、クローゼット内の洋服などを破損する被害に至っていたかもしれない。今回は損害賠償も全て保険で賄え、下の階の住人にも誠意を持って謝罪したので許してもらえたが、被害内容がもっと大きかったら、簡単に許してはもらえなかったと思う。共同住宅に住む者としては、他者に迷惑をかけないことが何より大切なルール。マンションを追い出されるようなトラブルにならなくて良かった。